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問題の原因が分からない理由を人間理解から細分化してみる|共感Work

23 分前
読了時間: 11分
白いブラウスの女性がノートPCの前で考え込む。右側に脳の線画と人間理解を起点、共感Work、Kyoukan Workの文字。


「ちゃんと考えているのに、また同じ問題が起きる」

「ちゃんと考えているのに、また同じ問題が起きる。」

金曜の夕方。西山さん(仮名・30代・企画職)は、上司からの一言に固まっていました。

「この企画、先月と同じところで詰まってない?」

先月も、西山さんは同じ指摘を受けています。そのとき西山さんはこう考えました。

「自分は段取りが甘いからだ」

そして改善策として、タスク管理アプリを新しく導入し、朝一番に予定を組み直す習慣を作りました。

最初の1週間は順調でした。しかし、2週間目には元に戻り、今回も同じ場所で止まっています。

「何が原因なんだろう」

「自分のやり方を変えれば解決するんだろうか」

「別の方法を試したほうがいいんだろうか」

考えて、対策を変えて、それでも同じ状態に戻る。そのたびに、「何を変えればいいのか分からない」という迷いが大きくなっていきます。

ここで見落とされがちなのは、問題そのものではなく、「何が原因だ」と判断した過程です。

西山さんにとって、企画が止まった原因は「段取りの甘さ」でした。だから、タスク管理の方法を変えることが解決策になりました。

しかし、その原因は事実として確認できたものなのでしょうか。それとも、焦りや自己責めの中で選ばれた解釈だったのでしょうか。

問題の原因を探すときに必要なのは、起きた出来事だけでなく、自分がその出来事をどう捉え、何を基準に原因を判断しているのかを見ることです。


原因を特定するには、人間理解が必要

人間理解とは、目の前の問題だけでなく、「自分はその問題をどう見て、何を根拠に原因を決め、なぜその対策を選んだのか」という判断の連鎖を見ることです。

人は、目の前の事実をそのまま受け取っているわけではありません。過去の経験、思い込み、価値観、そのときの感情を通じて、出来事の意味や原因を判断しています。

だからこそ、同じ問題でも、何に注目するか、何を原因と考えるか、どの解決策を選ぶかは人によって異なります。

西山さんの場合、「企画が止まった」という事実から、「段取りが甘い」という解釈へ、「タスク管理を変える」という行動へ進みました。

問題は、この連鎖のどこかにあります。

原因を見つけるには、自分が何を見て、何を基準に判断しているのかを可視化することが重要です。


人間理解から見る、原因を特定できない3つの仕組み

① 起きた事実と、自分が考えた原因を混同する

西山さんのケースで、確認できる事実は何でしょうか。

  • 事実: 企画が先月と同じ工程で止まった。上司から同じ指摘を受けた。

  • 解釈: 自分は段取りが甘い。努力が足りない。

  • 仮説: 段取りを改善すれば解決する。

ここで注意したいのは、「段取りが甘い」は事実ではなく解釈だということです。

「段取りが甘い」は、企画が止まったことそのものではありません。西山さんが、止まった状況に自分なりの意味をつけた結果です。

事実は、「同じ工程で止まった」「上司から同じ指摘を受けた」までです。そこに「自分のせいだ」「努力が足りない」という意味を加えた時点で、話は解釈へ移ります。

実際には、必要な情報が揃っていなかった、判断を先送りする傾向があった、企画そのものの前提が上司とずれていたなど、別の要因が関係している可能性があります。

事実と解釈を区別せずに原因を決めると、最初の推測に沿った対策を選びやすくなります。

西山さんがタスク管理アプリを導入したのも、「段取りが甘い」という解釈に沿った対策でした。

原因を探すときは、次の3つを区別します。

  • 事実: 実際に何が起きたのか

  • 解釈: その出来事をどう受け止めたのか

  • 仮説: 何が原因だと考えているのか

この区別によって、最初に考えた原因を見直せるようになります。

② 最初に考えた原因を正しいと思い込みやすい

人は、自分が立てた仮説を検証するとき、その仮説に合う情報に注目しやすくなることがあります。

この傾向に関連する概念が確証バイアスです。

心理学者ピーター・ワーソンが1960年に発表した研究「On the Failure to Eliminate Hypotheses in a Conceptual Task」では、参加者が仮説を検証する特定の課題において、仮説を否定できる情報を十分に探さない傾向が示されました。

この研究は、特定の課題における仮説検証の偏りを示したものです。日常の問題がすべて確証バイアスで説明できるという意味ではありません。

西山さんの場合、「段取りが甘い」と考えた時点で、遅れの原因を自分の段取りに求める情報ばかり集めていた可能性があります。

本当は「上司との前提のすり合わせ不足」が関係していたとしても、最初の仮説に意識が向いていると、その可能性に気づきにくくなります。

だからこそ、最初の仮説を正解として扱わず、別の可能性も検討することが重要です。

たとえば「努力不足」だと考えたなら、努力量だけでなく、計画、優先順位、必要な情報、判断の基準にも目を向けてみます。

③ 原因を一つに絞ろうとする

問題が起きると、明確な原因を一つ見つけたくなります。

原因が分かれば、何を変えればよいかが明確になるからです。

しかし、現実の問題は複数の要因が絡んで生じることがあります。

西山さんの企画が止まった背景にも、優先順位の曖昧さ、必要な情報の不足、上司との前提のずれ、判断を先送りする傾向などが関係していたかもしれません。

一つの原因だけを改善しても、ほかの要因が残れば問題は解消しません。

そのため、原因を一つに決めるのではなく、どの要因が、どのようにつながって問題を生み出しているのかを整理する必要があります。

感情が原因の捉え方に与える影響

原因を探すときには、そのときの感情も判断に影響します。

問題が続くと、焦りや不安が強くなり、「早く解決しなければ」という気持ちが生まれます。

西山さんが金曜の夕方に上司から同じ指摘を受けたときも、焦りや悔しさがあったかもしれません。

焦りは、「早く何かを変えること」を優先させます。

その結果、上司と前提をすり合わせる、止まった工程の情報を確認する、判断を先送りした場面を振り返るといった、時間のかかる確認が後回しになります。

西山さんがタスク管理アプリを選んだのは、悪い選択だったからではありません。焦りの中で、すぐ実行できる対策が最も説得力を持ったからです。

対策を試して改善しなければ、さらに別の方法を探す。新しい方法でも解決しなければ、また別の方法を試す。

この繰り返しでは、行動の選択肢は増えても、問題の捉え方や原因を判断する基準は変わらないままです。

ここで必要なのは、自分の感情を把握することです。

「早く解決したいと思っている」「失敗の原因を自分に求めている」「周囲からの評価を気にしている」

自分の状態を言葉にすることで、感情に影響された判断と、事実に基づく判断を区別しやすくなります。


自分は何を基準に原因を判断しているのか

同じ問題が起きても、人によって原因の捉え方や選ぶ対策は異なります。

すぐに結果を出すことを重視する人は、短期間で効果が出る方法を選ぶかもしれません。

再発防止を重視する人は、時間をかけて原因を調べることを選ぶかもしれません。

何を優先するかによって、注目する情報も、原因の捉え方も、解決策も変わります。

西山さんの場合も、「自分の段取りを改善すれば解決する」という判断の背景に、どのような基準があったのかを確認する必要があります。

たとえば、次のような問いが考えられます。

  • 私は、何を問題だと捉えているのか

  • その原因を、なぜそう考えたのか

  • 原因を判断するとき、何を重視しているのか

  • その判断基準によって、どの可能性を見落としているのか

  • ほかの基準で考えたら、どのような原因が考えられるのか

これらの問いによって、原因の探し方そのものを見直せるようになります。

問題を解決するために必要なのは、単に多くの情報を集めることではありません。

何を見て、何を重視し、どのように原因を判断しているのかを把握することが重要です。


人間理解に役立つメタ認知|原因の探し方を見直す

自分の思考や判断を一歩引いて捉える働きは、心理学で「メタ認知」と呼ばれます。

心理学者ジョン・H・フラベルは1979年の論文「Metacognition and Cognitive Monitoring: A New Area of Cognitive–Developmental Inquiry」で、メタ認知を、自分の認知についての知識や、その認知を監視・調整する働きに関係する概念として論じました。

この論文は、メタ認知の理論的な枠組みを整理したものです。

問題解決に応用するなら、目の前の問題だけでなく、「自分はどのように原因を探しているのか」を確認することがメタ認知の実践になります。

たとえば、原因を「努力不足」と考えたときに、次のように問い直します。

  • それは確認できた事実なのか、それとも自分の解釈なのか

  • その考えを裏付ける情報だけを集めていないか

  • ほかの原因を検討したか

  • 自分が重視している判断基準は何か

こうした問いによって、問題の見方を見直し、原因についての仮説を組み立て直せます。


問題を生み出す構造を可視化する

ここまでの内容を、西山さんのケースに戻して整理してみます。

西山さんは企画が止まったとき、「自分の段取りが甘い」と判断し、タスク管理の方法を変えました。

しかし、改善した状態は長く続かず、再び同じ工程で止まっています。

この流れを整理すると、次のようになります。

企画が止まる↓自分の段取りが原因だと考える↓段取りを改善する方法を探す↓タスク管理アプリを導入する↓一時的に改善する↓再び同じ工程で止まる

ここで注目したいのは、タスク管理の方法だけではありません。

なぜ西山さんは、企画が止まった原因を「自分の段取り」に求めたのでしょうか。

なぜ、タスク管理の改善を解決策として選んだのでしょうか。

その判断に至った背景には、本人が重視している基準や、問題を捉えるときの認知の傾向が関係している可能性があります。

共感Workでは、こうした出来事から判断・行動に至るまでの過程を整理し、問題を生み出している構造を可視化します。

人間理解を基盤に体系化した Empathy Action 12S Framework™ を用いて、認知・感情・判断・行動のつながりを捉え、本人が自分の判断基準を理解し、納得できる意思決定を行える状態を設計します。

目の前の問題への対処から、問題を生み出す構造そのものの再設計へ。これが共感Workの提供価値です。


問題の原因を整理する4つのステップ

ステップ1|起きた事実を書き出す

評価や推測を加えず、実際に何が起きたのかを整理します。

西山さんの例なら、「企画が先月と同じ工程で止まり、上司から同じ指摘を受けた」までです。

ステップ2|自分が考えている原因を明確にする

「何が原因だと思っているのか」「そう考えた根拠は何か」を書き出します。

「段取りが甘いから」と考えたなら、その根拠も添えます。

ステップ3|判断基準を確認する

原因を判断するときに何を重視したのかを振り返ります。

結果、効率、周囲の評価、再発防止など、自分が優先しているものを確認します。

ステップ4|別の仮説を検討する

最初に考えた原因以外に、どのような可能性があるのかを考えます。

「上司との前提のずれ」「情報不足」「判断の先送り」など、事実と照らし合わせて確認すべき要因を整理します。

この4つのステップを通じて、問題そのものだけでなく、原因を判断するまでの過程も見直せます。


まとめ|原因が分からないときは、判断の過程を見直す

問題が繰り返るとき、必要なのは新しい対策ではありません。

まず、「私はなぜ、あの原因だと決めつけたのか」を書き出すことです。

そこには、これまで見えていなかった前提と、次に変えるべき場所があります。

人間理解の視点では、次の4点が鍵になります。

  • 事実と解釈を分ける

  • 最初の仮説以外の可能性を考える

  • 原因を判断するときの基準を確認する

  • 認知・感情・判断・行動のつながりを整理する

自分では当たり前だと思っている判断基準が、問題の捉え方や対策の選び方に影響していることがあります。

原因の捉え方が変われば、選ぶべき対策も変わります。

判断の過程を可視化することで、これまでとは異なる視点から問題を捉え、納得できる解決策を選びやすくなります。


自分では気づきにくい判断基準を整理する|共感Workの無料診断

問題の原因を考えても解決につながらないとき、原因を探す方法や判断の基準を整理することが、新しい方向性を見つけるきっかけになります。

共感Workでは、人間理解を基盤に、現在抱えている違和感や課題を入り口として、判断の傾向や問題の捉え方を整理する無料診断を用意しています。

無料診断では、次のような点を整理するきっかけが得られます。

  • 自分が何を問題として捉えているのか

  • どのような判断基準を重視しているのか

  • 問題を解決するうえで、どこに着目するとよいのか

「なぜ同じ問題を繰り返すのか」「なぜ解決策を試しても改善しないのか」「自分は何を基準に判断しているのか」

こうした疑問を整理したい方は、共感Workの無料診断をご利用ください。


筆者プロフィール

共感Work|構造化設計アーキテクト

共感Workは、人間理解を基盤に体系化した Empathy Action 12S Framework™ によって、人の迷いや判断の基準を可視化し、個人・組織の意思決定と問題解決に向けた構造再設計を行っています。営業・採用・マネジメント領域で培った実務経験を基盤に、人の思考・感情・判断・行動のつながりを構造的に捉え、納得できる意思決定を実現するための設計を行っています。

参考文献

  • Wason, P. C. (1960). On the Failure to Eliminate Hypotheses in a Conceptual Task. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 12(3), 129–140.

  • Flavell, J. H. (1979). Metacognition and Cognitive Monitoring: A New Area of Cognitive–Developmental Inquiry. American Psychologist, 34(10), 906–911.

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